大家さんから「定期借家契約への切り替え」を求められたら?拒否できる?正しい対応法を弁護士が解説
借家賃貸物件弁護士 前田ちひろ
目次
・大家さんから定期借家への切り替えを求められた拒否していい?
住んでいる賃貸マンションの契約更新の時期を迎えるが、そんなときに大家さんから『次回の更新のタイミングで定期借家契約に切り替えたい』という内容の手紙が送られてきた。どう対応したら良いのかわからなくて困っている。今回は、そんな悩みを抱えていらっしゃる方に向けての対応方法のアドバイスです。
大家さんからそんな手紙が送られてくると、「サインを拒否したら追い出されてしまうのではないか」、「このまま住み続けることはできないのか」と、大きな不安を感じてしまう方も少なくないと思います。
結論から申し上げますと、大家さんからの定期借家契約への切り替え提案は、はっきりと拒否をしてしまって問題ありません。借主には提案に応じる義務はなく、拒否したからといって強制的に退去させられる心配もありません。
なぜ拒否できるのか、その理由と、実際に提案されたときの正しい対応法について詳しく解説します。
・そもそも「普通借家契約」と「定期借家契約」の違いとは?
切り替えの是非を理解するために、まずは2つの契約の違いを説明します。
まず、普通借家契約ですが、これは、期間が満了しても借主が希望すれば原則として自動的に契約が更新される仕組みの契約です。大家さん側から更新を断るためには、自身で住む必要が生じたなどの「正当な理由(正当事由)」が必要であり、簡単には解約できません。
これに対して、大家さんが切り替えを求めている定期借家契約は、あらかじめ定められた期間が満了すると、契約が終了し、自動的な更新の余地がない契約です。もし期間満了後も住み続けたい場合は、大家さんと新たに契約を結び直す必要がありますが、大家さんが再契約を拒否すればその時点で退去しなければなりません。また、再契約時に大家さんが賃料値上げ等を要求してきた場合には、契約をしたい以上はその要求に応じざるを得ないなど、普通借家契約に比べて借主の立場が弱い契約です。
つまり、大家さんは、定期借家契約に切り替えることで期間満了時には建物を明け渡してもらえるので、「将来的に賃料を上げたい」、「将来的に建物を壊して建て替えたい」、「トラブルを起こす入居者をスムーズに退去させたい」といった意図ある場合などに、更新の不要な定期借家契約への切り替えを提案してくるのです。
・借主は大家さんからの切り替え提案に応じる義務はあるか
結論から言えば、借主には、大家さんからの切り替え提案に応じる義務は一切ありません。借主が提起借家契約の締結を拒否すれば、大家さんが一方的に契約を普通借家契約から定期借家契約へ切り替えることはできません。
・対応方法
まずは提案についてはっきりと拒否の意思を示し、「現在の普通借家契約のままで更新を希望します」と伝えましょう。
提案を拒否しても、現在の普通借家契約はそのまま有効に続くので、マンションには引き続き住み続けることができます。
もし仮に、切り替えを拒否されたことに立腹した大家さんが家賃の受け取りを拒否するようなことがあれば、そのまま放置すると家賃の滞納を理由に契約解除されてしまう恐れもありますので、そのときには法務局での家賃の供託を行うなどして、家賃を納め続けてください。
・まとめ
大家さんからの手紙に不安を感じたとしても、法律は借主の地位を厚く保護しており、一方的な退去要求等に怯える必要はありません。大家さんや管理会社との交渉に不安を感じる場合には、一度当事務所へご相談ください。弁護士が法的な観点から最適なアドバイスを行い、サポートいたします。
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