不動産を取得する場合、単独で所有する以外にも複数人で共有する方法があります。
しかし、共有不動産には様々な問題が起こりうるため、リスク等を把握した上で購入や取得はしなければいけません。
そこで、本記事では共有不動産の発生要因や起こりうるトラブルの事例、共有の解消方法なども解説します。
共有不動産が発生する要因
共有不動産とは、一つの不動産に対して複数人の所有者がいる不動産を指します。
共有者はそれぞれ不動産の所有権を持ち、その所有権の保有割合は「共有持分」と言います。
こうした共有不動産は、主に以下のようなケースで発生します。
- ・夫婦で新居を共同購入する場合
- ・親子で住宅を共有名義で購入する場合
- ・相続時の遺産分割で、他の相続人と不動産を共有することになった場合
主に夫婦や家族などで新しい住宅や土地を共同購入する際に、共有不動産は発生しています。
また、遺産分割時に話がまとまらないため、とりあえず共有状態で不動産を相続するケースも多く見られます。
共有不動産の発生で起こりうるトラブルとは?
では、前述のような経緯で共有不動産が発生すると、どのような問題が起きるのでしょうか。
主に起こりうるトラブルとしては、下記のようなものがあります。
① 売却・貸し出しができない
共有者は不動産の共有持分を持っているので、自由に売却や貸し出しができると思う人は多いかもしれません。
しかし、共有不動産は共有者の1人が単独で売却・貸し出しを行うことは原則できません。
共有不動産の全体を売却するためには、共有者全員の同意を得なければならないのです。
この場合、共有持分の割合は関係ありませんので、例えば夫が90%の持分で妻が10%の持分であっても、妻の同意がなければ売却はできません。
同様にして、不動産を貸し出しする場合も原則共有者全員の同意が必要です。
夫婦間や親族間で不動産を共同購入した場合、不仲になれば自由に売却・賃貸ができないというトラブルが起こります。
② 大規模なリフォームや建て替えができない
売却や貸し出しと同じように、大規模なリフォームや建て替えの際も共有者の同意が必要になります。
したがって、共有不動産の大掛かりな修繕や建て替え等を検討する時は、必ず他の共有者に相談してから工事は行いましょう。
なお、不動産の性質を変えずに価値を高めるリフォーム等は「共有持分の過半数」があれば可能です。
一方、現状維持を目的に修理する場合は、単独でできるケースがあります。
ただし、他の共有者に無断で工事を行うと、「勝手にリフォーム(もしくは修理)をしたのだから、自分で支払って」と言われ、費用請求できなくなる可能性があるため可能な限り共有者全員の承諾を得ておくことが安全です。
③ その他のトラブルについて
共有不動産は前述の問題以外にも、下記のようなトラブルに発展するリスクがあります。
離婚時の財産分与で揉める
離婚すると婚姻中に築いた財産は、財産分与により配分されます。
その際、共有不動産があると、共有した住宅ローンの負担はどうするか、どちらが住み続けるかなどで揉めるケースがあります。
賃料を請求される可能性がある
共有不動産に無償で住み続けている場合、共有不動産に住んでいない他の共有者から賃料を請求される可能性があります。
また、賃料の金額や固定資産税・管理費等の負担でもトラブルになる事例が多く存在します。
相続発生のたびに権利関係が複雑になる
共有者が亡くなると、保有していた共有持分は亡くなった共有者の相続人に受け継がれ、その相続人の方々が新たな共有者になります。
共有不動産を放置すると、相続のたびに共有者が増えますので、権利関係が非常に複雑化するリスクがあります。
不動産共有の対策や解消方法について
最後に共有防止の対策や共有の解消方法についても確認しておきましょう。
主に下記のような手法があります。
共有防止の対策
- ・住宅はなるべく単独名義で購入し、共有での購入は避ける
- ・遺産分割時には共有者1人が単独で相続するか、不動産を売却して現金化する
共有の解消方法
- ・共有者全員の同意を得て不動産全体を売却する
- ・共有持分を売買して、共有者1人に持分をまとめる
- ・自分の共有持分を放棄する
- ・広い土地であれば複数に分割して相続し、各共有者が単独で所有する
可能であれば共有状態にしないのが一番安全です。
共有不動産はリスクを把握した上で取得を検討しましょう
共有不動産の発生要因や起こりうるトラブルの事例、対策や共有の解消方法についても説明しました。
共同購入は高額な不動産を購入できるメリットがありますが、一方で前述のような共有不動産の様々なリスクが存在します。
遺産分割で不動産を共有して相続する場合も同様です。
共有不動産を取得する際には、ぜひ本記事で挙げたリスクなどを把握した上で、購入等を検討しましょう。
必要であれば弁護士に相談することも大切です。