不動産売買トラブル
不動産の売買を行う際には、様々なトラブルが発生する可能性があります。
どのようなリスクが存在するのか把握しておかなければ、売買時に大きな損失や被害を受ける事態も起こり得ます。
そこで、本記事では不動産売買に関する様々なトラブルをシチュエーションごとに分けて解説します。
契約時に発生しやすいトラブル
不動産売買の契約時に発生しやすいトラブルには、以下のようなものがあります。
① 強引な契約によるトラブル
不動産業者や売主が言葉巧みに契約に誘導し、買主が、購入対象や条件の十分な検討を行わないまま契約になった事例が多くなっています。
必要の無い物件を買わされたり、相場より遙かに高い金額で買わされる事例も頻発しています。
性急に契約締結を求められる場合は逆に慎重になるべきです。
一度契約してしまうと、後で納得出来ない事情が出てきても契約の解除は難しいことが多いです。
② 契約解除でのトラブル
不動産の売買時には契約解除に関するトラブルも多くなっています。
具体的には以下のようなケースです。
- ・購入した不動産に埋設物や越境・近隣トラブルなどの問題があるケース
- ・買主から契約解除を求め、手付金の返還がされないこと債務不履行責任を巡ってトラブルになるケース
- ・不動産業者の説明と契約内容が乖離しており買主が解除を求めるケース
建物の売買時に起きやすいトラブル
建物の売買時には下記のようなトラブルが発生しやすくなっています。
① 契約不適合責任によるトラブル
引き渡し後の物件に瑕疵(傷や欠点等)があり、契約不適合となるトラブルも多く見られます。
なお、瑕疵には下記の4種類があります。
- 物理的瑕疵
- 耐震基準を満たしていない、シロアリの被害があった など
- 環境的瑕疵
- 近くにゴミ処理場があり異臭がする など
- 心理的瑕疵
- 過去に自殺や事故死などが発生していた など
- 法的瑕疵
- 接道義務を満たしていない、条例で建築が禁止されていた など
② マンションの管理規約に関するトラブル
マンションなどの区分所有建物の売買では、管理規約の説明不足によって発生するトラブルなどもあります。
主に該当するのは以下のような事例です。
- ・ペットの飼育が禁止されていた
- ・事務所や店舗として利用できない物件だった
管理規約の説明不足はトラブルになる可能性が高いため、事前に規約内容を買主に伝えておきましょう。
土地の売買時に起きやすいトラブル
土地の売買時には以下のようなトラブルの事例があります。
① 土地の境界に関するトラブル
土地の境界に関するトラブルは、個人間で売買をする際に多く発生しています。
通常、土地の境界や面積は法務局の資料に記録されていますが、長い年月で現況が変わっていたり、境界の目印が無くなったりしている場合があります。
多いのは契約書・登記簿上の面積と実際の面積が違う、隣地の建物や塀が境界を超えているなどのケースです。
したがって、土地の売買を行う際には、土地家屋調査士などに測量をしてもらった方が良いでしょう。
ちなみに、土地売買では売主に売却対象となる土地の境界を明示する義務があることが多いです。
② 埋設物や残置物に関するトラブル
埋設物は土地の中に埋まっているもの、残置物は前の建物や土地の所有者が残していったものを指します。
主に下記のようなものが埋没、もしくは残されているケースがあるため注意が必要です。
- ・前の建物を解体した際の廃材
- ・前の所有者が残したごみ、家具、家電
- ・前の建物の基礎部分、井戸
なお、地中埋設物の可能性がある場合は調査を行い、処理について協議した方が良いでしょう。
また、残置物については、引渡時に確認することはもちろん、仮に残置物があった場合は所有権を放棄するなど処分に必要な取り決めや負担についての取り決めをしておきべきでしょう。
金銭に関するトラブル
不動産売買時には金銭に関するトラブルも多く発生しています。
具体的には以下のような事例が存在します。
① 仲介手数料に関するトラブル
不動産の売買で仲介手数料を支払う際、仲介手数料が高いなどと主張してトラブルになることがあります。
なお、仲介手数料は法律により上限金額が定められていますので確認しておきましょう。
なお、不動産業者から「コンサルタント料」「調査費用」といった、仲介手数料とは異なる名目で請求をされるトラブルもありますので注意が必要です。
② 買取価格に関するトラブル
物件の買い取りは不動産会社が直接行うケースもあります。
その場合、相場より安い金額で買取価格を提示されることが普通です。
売主が価格について調査しない、納得しないまま売買契約までいきますとトラブルになることも多いですので、契約前に複数社に査定を依頼して、信頼できる業者を選ぶと安心です。
不動産売買はトラブルの事例をよく確認してから慎重に進めましょう
不動産売買時によくあるトラブルの事例を確認しました。
不動産の売却や買い取りは手続きが複雑ですので、売買の際には様々な点に注意する必要があります。
不安があれば弁護士にも相談しながら売買は進めましょう。