賃貸人とのトラブル
賃貸物件では、契約時や実際に入居した後、そして退去時において様々な問題が発生するおそれがあります。
借主側からすれば、賃貸人や不動産会社とどのような点でトラブルになるか把握しておきたいと思うでしょう。
そこで、本記事では賃貸人側とのトラブルで多い事例や対策・予防方法などについて解説していきます。
賃貸人とのトラブルについて
賃貸借契約で物件を借りる場合、賃貸人や不動産会社と様々な要因でトラブルになる可能性があります。
賃貸での居住の流れは主に「契約」「入居・生活」「退去」に分けられますが、各段階で起こりうる問題をしっかり把握しておく点が重要でしょう。
その上で、トラブルが発生した場合の対応策や解決方法について知っておく必要があります。
問題への対策を怠ると、思わぬ金銭的な損失を被る可能性や裁判などを起こされる可能性もあるため注意しましょう。
以下では、前述した段階のそれぞれで多く発生しているトラブルや対策を解説します。
「契約」でのトラブル
賃貸の契約時点では、主に以下のようなトラブルが発生しています。
① 入居申し込みを撤回させてくれない
入居申込書への記載は契約の締結ではないため、本来は撤回が可能です。
しかし、不動産会社から撤回は不可とされるトラブルが多くなっています。
申込書を書く前には撤回が可能か、また期限はいつまでなのかを確認しておきましょう。
② 契約締結前に説明にない費用を求められる
契約締結前に、物件紹介時や内見時に説明されなかった費用を求められるケースも多くあります。
基本的に契約金は契約書に署名押印するまで支払う必要はありません。
契約段階で初めて聞く費用があった場合は、契約の中断も検討しましょう。
③ 一時的に預けた申込金が返還されない
不動産会社に預けた申込金が返還されないトラブルも存在します。
返還を拒否された場合でも、請求は必ず行いましょう。
なお、申込金を預ける際には「預かり証」を受け取っておくと安心です。
「入居・生活」でのトラブル
物件への入居や生活時点におけるトラブルでは、主に下記の問題があります。
① 物件備え付けの設備が故障している
入居時からガスコンロやエアコンなどの備え付けの設備が故障している場合、賃貸人や管理会社に連絡を入れれば修理してもらえます。
自分で修理や交換をすると、賃貸人が負担してくれない場合があるため注意しましょう。
② 入居前に説明がなかった不具合がある
契約前に説明のなかった不具合が、入居してから判明するケースも多くあります。
この場合、賃借人は賃貸人に対して「契約不適合責任」を追及できます。
具体的には、不具合の修繕や賃料の減額、損害賠償請求や契約解除などを求められますので覚えておきましょう。
③ 家賃滞納
支払うべき家賃を滞納してしまい、賃貸人とトラブルになる事例も多発しています。
もし一度滞納してしまった場合は素直に謝り、すぐに家賃を納めましょう。
長期に渡り滞納を続けると、契約解除されてしまう可能性もあるため注意が必要です。
④ 家賃の値上げや更新の拒否
賃貸人や管理会社から、家賃の値上げや契約の更新拒否をされる問題もあります。
家賃の値上げは借主の同意がない限りできません。
増額した賃料を支払うと同意したものと見做されるおそれがありますので、納得できない場合は従前の額を支払うようにしましょう。
更新の拒否についても正当な理由や借主の同意が必要となります。
⑤ 修繕の対応をしてくれない
賃貸人に修繕義務があるにも関わらず、請求しても応じてくれない事例が多くあります。
こちらも賃貸人に対して損害賠償の請求や、修繕で掛かった費用分の賃料減額を求められます。
なお、請求の条件や範囲・方法については弁護士に相談して確認すると安心です。
「退去」でのトラブル
賃貸物件からの退去時に起きるトラブルについては、以下のようなものが挙げられます。
① 敷金が返還されない
賃貸人から「原状回復されていない」などと主張され、敷金がほとんど返還されないトラブルが多発しています。
敷金は故意・過失での損傷や家賃滞納がない限り、基本的には返還を求められますので覚えておきましょう。
② 原状回復費用が高額である
非常に高い原状回復費用を求められるトラブルも多く存在します。
こちらも借主の故意や過失による損傷でない限り、費用負担をする必要はありません。
家具設置での床の凹み、畳や壁紙の変色などの通常使用で生じる損耗は賃貸人の負担となります。
トラブルの事例を確認して注意点を把握しておきましょう!
物件賃貸時における賃貸人とのトラブルの事例や注意点・対策等を紹介しました。
賃貸契約を締結する際には、事前にどのようなトラブルが起こりうるか把握しておくことが大事です。
また、物件のルールの確認や「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」などで、賃貸に関する知識を身に付けておくと安心でしょう。
ぜひ、本記事を参考にしながら契約は進めてみて下さい。