「借地契約を解除する、よって建物を収去して出て行って下さい」と地主さんから言われたケース
担当弁護士 藤田温久
今回、解決した事件の経緯は以下のようなものです。
Aさんは、お父さんの代から地主Bさんから数十年にわたり一筆の土地(不動産登記簿で1つの地番がついている土地)を借りて、その土地の上で居酒屋さんと1軒の貸家の経営をされてきました。
ところが、Aさんに対し、突然、不動産業者Cから「Bから土地を買った。① あなたの建物は、当初の賃貸借契約書記載の建物と異なっており、地主の承諾なく新築したことは明らかである、また、② あなたは、前々回の更新時に更新料を支払っており、『更新料を支払う』旨の書面も書いているにも拘わらず前回の更新時には更新料を支払っていない。よって、①により本件賃貸借契約を解除する。①が成り立たないとしても、②より解除する。建物を解体収去して3ヵ月以内に出て行って下さい。」という手紙が不動産業者Cから届きました。
私は、Aさんからご依頼を受けAさんの代理人として、C主張の賃貸借解除の理由①、②はいずれも成り立たないから解除は無効であり、今まで通り、借地契約は続いているから立退き請求には応じられないと内容証明郵便を送りました。
すると、Cは横浜地裁川崎支部に訴訟を起こしてきました。私は、Aさんの訴訟代理人として、C主張の①について、地主Bさんから建物新築後に承諾を受けていた、だからこそ20年間にわたり一度も『承認なく新築したから解除する』などと言われたことはなかったことを主張・立証し、C主張の②については、前々回の更新時に更新料を支払ったことは認めるが、その時作成した「更新料支払い約定書」は1回限りのものでありその後の更新時に更新料を支払うことを約束したものではないこと、よって前回の更新時に法定更新していること、Cの主張する「法定更新の場合にも更新料支払い義務が生じる」とした裁判例は本件とは全く事案が異なっており本件に類推する余地はないことなどを主張・立証しました。その結果、裁判官は私の主張を認める旨の心証を明らかにし、Cは立退き請求を諦めました。
本件では、Aさんは貸家が老朽化しており、建替に多額の費用を要することなどから貸家業を止めようか迷っていたこともあり、その裁判の中で、借地を分筆し(一筆の土地を分けること)貸家側の土地の借地権をAさんからCに譲渡し、逆に居酒屋さんをやっている敷地の底地権をCがAさんに譲渡する(「等価交換」)和解を締結し、Aさんにとって完全に納得できる解決をすることができました。私は、分筆に至る測量や、一つしかなかった下水道を新たに設置する工事の手配等も含めて処理し、Aさんに大いに喜んでいただきました。
私の弁護士歴37年間で、借地・借家問題に関し受けた御相談は総数で数千件、受任した事件だけでも500件を優に超えます。
ところで、平成バブル崩壊で一旦下落した土地の価額が神奈川県でも上昇を続けてきました。その結果、再び、借地人あるいは借家人を追い出し、建物を解体収去し、その土地に新たな開発・新たな建物を建てる第3者に土地を売却譲渡し大きな利益を上げようとする業者が目立つようになってきました。
このように、長年続いてきた借地契約に介入し借地人を追い出し、「地上げ」てき利益を上げようとする業者は後を絶ちません。しかし、多くの場合、御相談いただくことで、解決できる可能性があります。是非、御自分で新地主回答する前に私達弁護士に御相談下さい。
弁護士藤田温久